IT業界への就職・転職を考える際、必ずと言っていいほど耳にするSESという働き方。ネット上では「SESはやめとけ」といったネガティブな声を見かけることもありますが、実際のところはどうなのでしょうか?
本記事では、SESの基本的な仕組みから、現場で働くエンジニアの視点に立ったメリットとデメリットまでを徹底解説します。
1. SES(システムエンジニアリングサービス)とは?



SESとは、ソフトウェアやシステムの開発・保守・運用などの業務において、エンジニアの技術力を提供する契約形態のことです。多くの場合は、自社ではなくクライアント(顧客)のオフィスやリモート環境に出向いて業務を行います。
・派遣契約:指揮命令権が「常駐先企業(クライアント)」にある。
・SES(準委任契約):指揮命令権が「所属元の自社」にある。
つまり、現場での作業指示は本来、自社のリーダーなどを通して行われる必要があります。この仕組みを正しく理解しておくことは、エンジニアとして自身の身を守りながら働く上で非常に重要です。

2. SESで働く3つのメリット


SESで働く主なメリットは以下の3点です。
① 様々な現場で経験を積める
プロジェクトごとに異なる企業へ常駐するため、多種多様なシステム開発の現場や最新のツール、開発手法に触れることができます。一つの会社にいながら、幅広い技術スタックや業務知識を身につけられるのは大きな強みです。
② IT業界の登竜門として入りやすい
自社開発を行っている企業などに比べ、SES企業は未経験者や経験が浅い層の採用に積極的な傾向があります。充実したIT研修制度を設けている企業も多く、IT業界での第一歩として最適な環境と言えます。
③ 残業が比較的少ない
SESの契約は「月間で140時間〜180時間働く」といった精算幅(基準となる労働時間)が決められていることが一般的です。そのため、契約時間を超過するような過度な残業が発生しにくく、ワークライフバランスを保ちやすいという特徴があります。
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3. SESで働く3つのデメリット


一方で、以下のようなデメリットも存在します。
① 案件ガチャ(希望の仕事ができない可能性)
どのプロジェクトに配属されるかは、本人のスキルレベルやクライアントの状況、自社の営業力によって決まります。そのため、必ずしも自分がやりたいプログラミング言語や業務に携われるとは限りません。これをネット上ではよく「案件ガチャ」と呼んでいます。
② 帰属意識が低くなりがち
常にクライアント先のオフィスで働くため、「自社の社員」としての感覚が薄れやすくなります。同僚と顔を合わせる機会が月に1回の帰社日のみというケースも珍しくなく、孤独感を感じてしまう人もいます。
③ 給与の上がり幅に限界がある場合も
日本のIT業界特有の「多重下請け構造」により、商流が深く(下請けの階層が下の方に)なるほど、自社に入ってくる利益が少なくなります。結果として、エンジニア本人の給料に還元されにくい構造的な課題を抱えている企業もあります。
4. SESが向いている人・向いていない人
ここまで紹介した特徴を踏まえ、SESに向いている人とそうでない人を整理しました。
- 向いている人
- 幅広い業界・技術の知識を吸収したい人
- 未経験からいち早くエンジニアとしてのキャリアをスタートさせたい人
- 環境や人間関係の変化に適応するのが得意な人
- 向いていない人
- 自社サービスの開発に最初から最後までじっくり携わりたい人
- 常に同じ環境、同じメンバーで落ち着いて働きたい人
Q. 未経験からでも優良なSES企業を見分けるコツはありますか?
A. 「還元率」を公開しているか、待機中(案件が決まっていない期間)の給与が100%保証されているか、商流の浅い(プライム案件や二次請けメインの)案件を豊富に持っているかを面接等で確認するのがおすすめです。

5. まとめ:自分に合った働き方を選ぼう


SESは、IT業界で経験を積むための非常に有効な選択肢の一つです。「SESはやめとけ」という極端な意見を鵜呑みにするのではなく、自分の目指すエンジニア像に合っているかどうかを基準に判断することが大切です。
これからエンジニアを目指す方は、ぜひこの記事を参考に、自分にぴったりのキャリアパスや企業を見つけてください!その他のIT業界の働き方については、IT業界の基礎知識の記事もあわせてご覧ください。

