eスポーツの大会で「優勝賞金〇億円!」といった華やかなニュースを目にする機会が増えました。しかし、それは世界トップクラスのほんの一握りの選手の話です。

億を稼ぐトップ選手がいるのは分かったけど、日本国内のチームに所属している「一般的なプロゲーマー」って、実際どれくらいのお給料をもらっているんですか?
非常に良い着眼点ですね!実は、トップ層以外の<strong>「国内プロチーム所属選手」</strong>のリアルな年収事情はあまり表に出てきません。
今回は、過去に国内チームの運営や選手に取材をしてきた私が、FPSタイトル別のリアルな平均年収について解説します。

この記事では、これからeスポーツ選手を目指す方に向けて、一部のスター選手ではなく**「日本の一般的なプロゲーマーの現実的な収入」**に焦点を当てて解説していきます。

📝 目次

夢と現実:日本のFPSプロゲーマーの平均年収

結論から言うと、日本国内の中堅〜上位プロチーム(Tier2〜Tier1下位レベル)に所属する一般的なFPSプロゲーマーの平均年収は、おおよそ150万円〜350万円程度(月給に換算すると10万円〜30万円前後)が現実的なボリュームゾーンです。

💡 ポイント
・「プロチーム所属」と言っても、給与形態は様々です。
・毎月十分な固定給(月収25万円以上など)をもらい、ゲームだけで生活できている選手は、国内でも数十人〜百人程度に限られます。
・多くの選手は、実家暮らしであったり、アルバイトと兼業で競技を続けているのが実態です。

ゲーミングPCに向かう日本の若者

【FPSタイトル別】日本のプロチーム所属選手の給与事情

同じ「FPSゲームのプロ」でも、プレイするタイトル(競技シーンの規模)によって、国内チームが提示できる給与水準は大きく異なります。ここでは、日本で特に人気の高いタイトル別に具体的な給与事情を見ていきましょう。

国内だと、やっぱり今一番人気があるゲームの方がお給料も高いんですか?
その通りです。日本国内の大会視聴者数や、スポンサー企業の付きやすさがチームの資金力に直結するため、給与水準もタイトル人気に比例します。

1. Valorant(ヴァロラント)

valorant

現在、日本のFPS競技シーンで最も盛り上がっており、国内チームからの給与水準も最も高いタイトルです。

  • 一般的な国内プロの月給水準: 15万円〜35万円
  • 給与事情: 日本国内の公式リーグ「VCJ(Valorant Challengers Japan)」に出場するレベルのチームであれば、選手にしっかりとした固定給を支払うケースが増えています。ただし、メインロースター(スタメン)から外れたり、チームがリーグで結果を残せなかったりすると、翌年には給与カットや契約終了となるシビアな世界でもあります。

2. Apex Legends(エーペックスレジェンズ)

日本で爆発的な人気を誇りましたが、純粋な「競技の固定給」としてはValorantに一歩譲るのが現状です。

  • 一般的な国内プロの月給水準: 5万円〜15万円(※配信収益を除く)
  • 給与事情: 公式大会(ALGS)に出場するプロチームでも、固定給は月数万円程度にとどまるチームが少なくありません。その代わり、日本国内でのプレイヤー数が非常に多いため、選手個人がYouTubeやTwitchで**「ゲーム実況配信」**を行い、固定給以上の収益を投げ銭や広告費で稼ぐスタイルが一般的です。

3. その他のタイトル(R6S、OW2など)

『レインボーシックス シージ(R6S)』や『オーバーウォッチ2(OW2)』などのタイトルにも国内プロチームは存在します。

  • 一般的な国内プロの月給水準: 無給(歩合制)〜5万円程度
  • 給与事情: 一部の大手チームを除き、基本給が支払われるケースは稀です。「大会の賞金が出たらチームと折半」「スポンサー提供のデバイス支給のみ」といった待遇も多く、基本的には別の仕事やアルバイトを持ちながら活動する「セミプロ」に近い形態が多く見られます。

FPSの大会でチームメンバーと話す選手たち

固定給だけじゃない?一般的なプロ選手の収入内訳と実態

日本の一般的なプロゲーマーは、チームからの基本給だけで贅沢な暮らしをするのは困難です。そのため、複数の収入源を確保して生計を立てています。

  1. チームからの固定給(基本給) 前述した通り、国内中堅チームであれば月5万〜20万円程度。生活の基盤となりますが、これだけで自立するのは難しい層も多いです。
  2. 大会賞金の分配 国内大会の賞金(数十万円〜数百万円)を、チームと選手で分配します。しかし、常に上位に入賞できるわけではないため、安定した収入源にはなりません。
  3. 動画配信・個人スポンサー Twitchなどでの配信収益です。チームからの固定給が少なくても、トーク力やキャラクターでファンを獲得し、配信収益で月数十万円を稼いで生活を安定させている賢いプロ選手も多数存在します。

まとめとよくある質問

日本の一般的なプロゲーマーの現実は、決して「ゲームをしているだけで大金持ちになれる」という甘いものではありません。しかし、eスポーツ市場の拡大に伴い、5年前と比較すれば「ゲームで生活費を稼ぐ」ことは確実に現実的なキャリアの一つになりつつあります。

Q. プロチームに入るにはどうすればいいですか?

A. ゲーム内のランクマッチでトップ層(レディアントやプレデターなど)を維持することは大前提です。その上で、チームのSNSで開催されるトライアウト(入団テスト)に応募したり、アマチュア大会で実績を残してチーム側からのスカウトを待つのが一般的なルートです。

Q. 現役引退後はどのような仕事に就く選手が多いですか?

A. 一般的な選手の場合、チームのコーチやアナリストに転身するほか、動画編集のスキルを活かして映像制作会社に就職したり、ストリーマー(配信者)に完全移行するケースが多いです。セカンドキャリアの形成はeスポーツ業界全体の課題でもあります。

プロを目指す方は、ゲームのスキルを磨きながらも、配信活動でファンを増やしたり、SNSでの発信力を高めたりと**「自分自身の価値(ブランディング)」**を高める努力を並行して行うことが、厳しい業界を生き抜く鍵となります。

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